やすこ地蔵

さく やすこ    え ふゆのてて

 

 

 

●むかしむかし、あるところに「やすこ」という貧乏ミレシアンが住んでいました。

 

●ある日、やすこは童話の「傘地蔵」にあこがれて、ひとりでお地蔵さんごっこをしていました。

 

●しばらくお地蔵さんの真似をして、ぼーっとしていると、どこからともなく優しそうなお爺さんが現れました。

 

 

 

●お爺さんは「お地蔵さんとは、なんと縁起の良い」と言うと、お供え物のアイテムを置きました。

 

●やすこが「お地蔵さんごっこだから!」と言いましたが、耳の遠いお爺さんには聞こえなかったようで、

 

●「せめてお金を~!」という、康子の声は届くことはなく、どこかに消えてしまいました。

 

 

●やすこは困りました。 お地蔵さんごっこをしていたつもりが、本当にお供え物をいただけるなんて…。

 

●何か悪いことをしてしまったような気がして、やすこは胸がくるしくなってしまいました。

 

 

 

●その日の夜、やすこは童話[「傘地蔵」のように、お爺さんに何か恩返しができないかなと考え、

 

●貧乏ながらなんとか維持しているハウジングに帰ることにしました。

 

 

 

●しかし、家に帰って銀行残高を確認してみると32ゴールドしかありませんでした。

 

●やすこはとても困りました。 このままでは恩返しどころか、雑貨屋の空き瓶すら買えません。

 

 

●「う~ん…」 やすこは悩みました。

 

●そして、いつのまにか家に住み着いていた豚をお爺さんにプレゼントすることに決めます。

 

 

●が、とうぜん豚は猛反対です。

 

●「ミレシアンなんだから商売で稼ぎよ!」そう康子に向かって叫びます。

 

 

 

●そんなわけで、康子は必死に蜘蛛の糸を集めて、糸屋さんを開くことにしました。

 

●しかし、今は令和の時代でG24です。 昔のように糸がバンバン売れるはずもありませんでした。

 

 

 

●「もう正直に謝ろう」 やすこはそう思って、お爺さんの家に向かいました。

 

●優しいお爺さんをだまし続けるくらいなら、早く謝りにいこうと考えたからです。

 

●「ガラガラっ」 やすこは、おそるおそるお爺さんの家の扉をあけました。

 

 

 

●扉の向こうには、優しそうなお爺さんが立っていました。

 

●「おや、いったいどうしたんだい?」

 

 

 

●「ごめんなさい! 実は傘地蔵ごっこをしていただけなんです!」

 

●それなのにたくさんアイテムをもらってごめんなさい!」

 

●やすこは必死に土下座をして謝りました。

 

●びくびくしているやすこを見て、お爺さんはホッとした様子で語りかけます。

 

 

 

 

●「そうかそうか、それなら、恵まれない女の子なんていなかったんだね、それは良かった。」

 

●「お供え物はワシが勝手に置いたものだから気にしなくて良いんだよ」

 

●「その代わり、今度困った人がいたら助けてあげるんだよ」

 

 

●そう、お爺さんは最初からすべて知っていたのです。

 

●お爺さんは、「女の子がお腹が空いて物乞いをしている」と勘違いをして、

 

●なるべく気が付かないふりをして、お供え物を置いて行ったのでした。

 

 

 

 

●「エリンには、こんなに優しい人がいるのか」

 

●やすこは驚きと感動で胸がいっぱいになっていました。

 

●そして、何も考えずにお地蔵さんごっこをしていた自分が恥ずかしくなりました。

 

 

●その後、やすこは、エリン中の子供たちにお菓子を届ける「おかし星人」になりましたとさ。

 

●その昔、今は亡きお爺さんと交わした約束を守り続けて。

 

●めでたしめでたし。